最近、特に年末にメディアで取り上げられたこともあり、耳にした事がある方も多いかもしれませんが、「バーリーマックス」は「スーパー大麦」とも呼ばれています。
大麦自体は、食物繊維を豊富に含む事からダイエットに効果があるということで知られていて、取り入れている方も多いかもしれません。
私自身も、大麦の一種である「押し麦」や「もち麦」をご飯に混ぜて食べることがありましたが、「バーリーマックス」はそれらの大麦よりも食物繊維などの栄養成分が多く含まれているという特徴があります。
今回は「バーリーマックス」についてその栄養価やダイエット効果などを調べ、バーリーマックスが使われている商品の中から、いくつかを試した感想をまとめてみたいと思います。
目次
大麦とは?
まず、スーパー大麦について調べていく前に、大麦について簡単に解説しておきます。
同じイネ科の植物である小麦と大麦ですが、粒が小さいから「小麦」、大きいから「大麦」という名前が付いている訳ではありません。
英語では「小麦」は「wheat」、「大麦」は「barley」と呼ぶように、全く違うものです。
日本語でなぜ「小麦」や「大麦」と表現するのかについては、「小麦」は粉にして使う事が多いから「粉麦」と呼んでいたとか、昔から使われていたから「古麦」と呼ばれていたなど諸説あり、「大麦」は成長する過程での葉っぱの大きさが「小麦」よりも大きいからと言われていますが、正確なところは分かりません。
名前の由来についてははっきりしませんが、含まれている栄養成分については違いがあります。
その最たるものがたんぱく質の違いです。
小麦には粘り気のあるグルテンというたんぱく質が豊富に含まれていますが、大麦に含まれるホルデインというたんぱく質には粘り気がありません。
大麦でパンや麺を作っても、膨らまず、また麺が切れ切れになってしまうのはこのためです。
一方、麦ごはんに使われるのは小麦ではなく大麦ですが、小麦でご飯を作ろうとすると吸水性がなくパサパサとした食感になってしまいます。
このように、含まれている成分が違うため、どのようなものに使うかは、小麦と大麦とで使い分けられています。
「大麦」の栄養成分
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると大麦の1種である「押し麦」の100gあたりの栄養成分は以下のようになります。
たんぱく質:6.2g
脂質:1.3g
炭水化物:77.8g
食物繊維:9.6g
-水溶性食物繊維:6.0g
-不溶性食物繊維:3.6g
※炭水化物の数値に食物繊維の数値が含まれているのかどうかがはっきり分かりませんでしたので、今回は別に表示してあります。
特に目をひくのは、食物繊維の量の多さではないでしょうか。
これは、玄米の3.2倍、白米の19倍にもなります。
食物繊維の摂取量が少ない現代人にとっては、大麦は積極的に取り入れたい食材のひとつであると思います。
スーパー大麦「バーリーマックス」は食物繊維の量が豊富
では、スーパー大麦「バーリーマックス」は普通の大麦と何が違うのでしょうか。
今回試食する味の素のスーパー大麦がゆの裏面にはこのような記載があります。
- スーパー大麦「バーリーマックス」は、オーストラリア連邦科学産業研究機構が開発した大麦であること。
- 一般の大麦に比べて約2倍の総食物繊維量を含む。
- 3つの食物繊維(フルクタン、β-グルカン、レジスタントスターチ)を含み、「腸の奥」まで届く。
大麦というと、押し麦やもち麦のイメージがあり、日本で作られているイメージでしたが、「バーリーマックス」はオーストラリアで開発されたものでした。
先ほども書きましたが、現代人は食物繊維がかなり不足していると言われています。
摂取目安量は成人であれば18~20gと言われていますが、実際は、それほど多く摂取出来ている人は少ないのではないでしょうか?
普通の大麦でも、多くの食物繊維が含まれていますが、その約2倍もの食物繊維が含まれているというのは驚きです。
また、その食物繊維の種類も3種類あるようですね。
フルクタンとβ‐グルカン
どちらも水溶性の食物繊維の1種で、血糖値の急上昇を抑制したり、血中コレステロールを低下させたり、お腹の調子を整えるなどの整腸作用があると言われています。
このように、血糖値やコレステロールへ働きかけてくれたり、整腸作用があったりするので、ダイエットをしている方は積極的に取り入れたい成分ではないでしょうか。
ちなみにフルクタンは「らっきょう」にも多く含まれていて、「β‐グルカン」は椎茸などのきのこ類にも多く含まれています。
レジスタントスターチ
レジスタントスターチと、ちょっと言いにくい名前の成分ですが、これは炭水化物の一種になります。
レジスタント(resistant)は「抵抗」という意味で、スターチ(starch)は「でんぷん」という意味です。
※ここで、「あれ?レジスタントスターチは食物繊維ではないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、でんぷんの一種なので厳密には「炭水化物」に含まれると思います。
しかし、働き自体は食物繊維のような働きをするので、味の素のパッケージでは、他の2種類の食物繊維と合わせて3種類の食物繊維という表現をしているのではないかと考えられます。
最近のダイエットの主流と言えば「ローカーボ」という言葉もあるように、炭水化物はなるべくカットする風潮がありますが、この「レジスタントスターチ」は「難消化性でんぷん」とも呼ばれるもので、糖質でありながら食物繊維と同じ働きをするものなのだそうです。
どのような働きをするかと言うと、「レジスタントスターチ」は小腸で消化されず大腸まで届き、腸内細菌のエサになるというのです。
普通「でんぷん」と言えば、全て消化吸収されてエネルギーになると思われていましたが、「でんぷん」の中にも消化されにくいものがあったという訳です。
また、腸内細菌のエサになる糖質と言えば、オリゴ糖が思い浮かびますが、この「レジスタントスターチ」も同じように善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えるために貢献してくれるようです。
腸内環境が整えば、便通も良くなり、老廃物を排出してダイエットに繋がります。
また、小腸で消化されずに腸の奥まで届くので血糖値の急激な上昇を抑え、脂肪の吸収を抑える効果が期待できます。
「バーリーマックス」商品
スーパー大麦「バーリーマックス」には豊富な食物繊維と、食物繊維に似た働きをする難消化性でんぷんが含まれることが分かった所で、これからは「バーリーマックス」を実際に試してみたいと思います。
はくばく「スーパーフード バーリーマックス」
まずは、「はくばく」という会社から販売されている「スーパーフード バーリーマックス」です。
原材料は「大麦」のみです。
栄養成分は以下のようになっています。
100gあたり
たんぱく質:14.1g
脂質:6.6g
炭水化物:66.4g
-糖質:44.8
-食物繊維:21.6g
食塩相当量:0.03g
前の項目で、普通の大麦の栄養成分を表示しましたが、比較してみると、大麦の食物繊維が「9.6g」であるのに対して、この「スーパーフード バーリーマックス」には「21.6g」も含まれており、その差は2倍以上であることが分かります。
開封して中身を確認してみます。
米粒よりも少し大きいぐらいです。
このままでは食べられませんので、茹でたり、ご飯を炊く時に混ぜるなどして試してみたいと思います。
茹でる
「スーパーフード バーリーマックス」を茹でます。
パッケージ裏面の作り方には、「お湯1リットルに対して大さじ4(約40g)を加え、約15~20分ゆでる」とのことでしたので、そのように作ってみます。
ゆであがる頃には、水分がほとんどなくなりそうでした。
ゆであがったら、ざるにあげて水気を切ります。
水分を含んで膨らんでいるのが良く分かります。
まず、このまま食べてみたところ、プチプチという食感があり、そして甘味を感じました。
何も味付けしないでこんなに甘さを感じる事に驚きました。
そして、パサパサせずしっとりしているので食べやすく感じました。
この茹でたバーリーマックスをサラダのトッピングにしたり、スープに混ぜたりなど、自分の好きなメニューに加えて食べる事ができるようです。
ちょうど、えんどうまめのスープがあったので、ゆでたバーリーマックスを混ぜて食べてみましたが、プチプチした食感と甘みがアクセントになって、スープだけよりも美味しく食べる事ができました。
ただ、スープもバーリーマックスもどちらも甘味があるので、もしスープに加えるなら、トマトスープやコンソメスープなど、味がかぶらないものが良いと思います。
ごはんに混ぜて
次は、白米に混ぜて一緒に炊飯してみます。
パッケージ裏面の作り方を見ると、1合に対して「バーリーマックス」を大さじ4と水80mlを加えるようです。
家ではいつも3合炊いていますので、今回は3合炊きます。
まず3合炊く時の水加減に調整してから、大さじ12と水を240ml加えて、軽く混ぜてから炊飯器にセットします。
普通の白米を炊くコースで炊飯しました。
炊きあがりがこちらです。
気になる味ですが、まずプチプチという食感があります。
そして、やはり甘味を感じました。
また、麦のこおばしい香りもしますし、普通の麦ごはんよりも、噛みごたえがあります。
少し大麦を入れ過ぎたかもしれないと思いましたが、美味しく食べることができました。
しかし、子どもは食感が苦手なのか食べづらい様子だったので、カレーをかけて食べさせたところ、これなら食べられるということで完食しました。
今回はご飯の方にバーリーマックスを混ぜましたが、茹でたものをカレーに混ぜても良さそうです。
味の素「スーパー大麦がゆ」
次に、味の素から販売されている「スーパー大麦がゆ」を試してみたいと思います。
先ほどの、はくばくの「スーパーフード バーリーマックス」は、そのままでは食べられず、一度ゆでたり、白米と一緒に炊飯しなければなりませんでしたが、この「スーパー大麦がゆ」はレンジでチンしてお皿にうつしてそのまま食べる事ができます。
時間がない方や、手間をかけずに食べたい方は、こちらの方が手軽に取り入れることができそうです。
原材料と栄養成分はこのようになっています。
原材料
1袋(250g)あたりの栄養成分
たんぱく質:4.0g
脂質:0.50g
炭水化物:23g
‐糖質:20g
‐食物繊維:3.3g
食塩相当量:1.2g
味の素から販売されている他の「おかゆ」シリーズと比べて栄養価が気になる部分だと思いますので、少し比較してみたいと思います。
味の素おかゆシリーズ「白がゆ」
1袋(250g)あたりの栄養成分
たんぱく質:1.5g
脂質:0.25g
炭水化物:19g
食塩相当量:0.00g
味の素おかゆシリーズ「玄米」
1袋(250g)あたりの栄養成分
たんぱく質:2.0g
脂質:0.50g
炭水化物:24g
食塩相当量:0.71g
「白がゆ」はカロリーが少し低め、スーパー大麦はたんぱく質と脂質、食塩の量が少し多めです。
食物繊維の量が他の商品には書かれていませんでしたので比較することができませんでしたが、日本食品標準成分表のデータを参照する限り、白米や玄米よりもスーパー大麦に食物繊維が多く含まれていると考えられます。
作り方は先ほども少し書きましたが電子レンジで温めるだけになります。
この時に、「蒸気口」がある面を上にして温めるのを間違えないように気をつけましょう。
加熱が終わって開封してみます。
かなりグレーがかった色合いをしているのが分かります。
お皿に移してみると、ご飯粒と一緒に大麦の粒が多く含まれているのが分かります。
パッケージに記載がありますが、1袋に12gスーパー大麦が含まれているそうです。
おかゆなので薄味かと思っていましたg、食べてみると、しっかりと出汁の味がでていて美味しいです。
これ一杯でかなりお腹が膨れる感じがしました。
しっかり味がついているとはいえ、やはり単調な味では物足りなくなってくると思いますが、色々な具材をトッピングすることで飽きずに食べられると思います。




私はほうれん草のおひたしがありましたので、それを添えたり、ちりめんやお漬物などをトッピングして食べたりしました。
また、ヨーグルトにも混ぜてみましたが、意外にも美味しく食べることができました。
ほんのり甘味がありつつ、クセのある味はしないので、食事だけではなくヨーグルトや、ホットケーキなどに混ぜても良さそうです。
だいずデイズ 蒸し大麦「スーパー大麦」
次は、だいずデイズという会社から販売されている「スーパー大麦」です。
これは、蒸してある状態の「バーリーマックス」になりますので、開封したらこのまま食べる事ができます。
家で「バーリーマックス」をゆでたり、炊いたりする時間のない方は手軽に使うことができて重宝しそうです。
また、開封後は冷蔵庫で保存できますので、サラダやスープ、ご飯にトッピングしたい時にも簡単に使えて便利ですね。
ただ、開封する部分がジッパーになっていないので封をするのにゴムなどで留めなければならず、少し手間がかかると感じました。
裏面の品質表示の欄には「蒸し大麦」と書かれてあります。
栄養成分はこのようになっています。
1袋(50g)あたり
たんぱく質:3.2g
脂質:1.5g
炭水化物:14.8g
-糖質:8.9g
-食物繊維:5.9g
ナトリウム:2.0mg
(食塩相当量:0.005g)
大麦β‐グルカン:1.4g
レジスタントスターチ:0.6g
かなり細かく栄養成分が書かれていました。
開封してみます。
先に試している、はくばくの「スーパーフード バーリーマックス」をゆでた時とほぼ同じような見た目をしています。
味もほぼ同じで、ぷちぷちとした食感と甘さがあり、しっとりしています。
このままサラダにトッピングしたり、スープに加えたり、色々と自分の好みでアレンジできそうです。
私はバケットにのせて、チーズも合わせてトーストして食べてみました。
食物繊維が不足しがちなメニューの時に、さっと加えて食物繊維を補えるので、とても手軽で使いやすいなと思います。
大さじ1杯あたりの「バーリーマックス」(蒸した状態)に含まれる栄養価
いくつか「バーリーマックス」の商品を試している数日間は、お通じがかなり良かったので驚きました。
食物繊維が豊富に含まれているのを実感として感じることができましたが、どのくらいの量のバーリーマックスを食べたら、どのくらい食物繊維が摂取できるのかがはっきり分からないため、目安として、大さじ1杯あたり、どのくらいの栄養価になるのかを計算してみました。
一番最後に試した、だいずデイズの蒸し大麦「スーパー大麦」を使って計算します。
「スーパー大麦」は、大さじ1杯に少し山盛りにくんで15gでした。(※スプーンの重さは含まれていません。)
1袋(50g)あたりの栄養価はパッケージに書いてありますので、それをもとに、15gでの栄養価を計算すると、以下のようになります。
大さじ1杯(15g)あたり
たんぱく質:0.64
脂質:0.45g
炭水化物:4.44
-糖質:2.67
-食物繊維:1.77
ナトリウム:0.6mg
(食塩相当量:0.0015)
大麦β‐グルカン:0.42
レジスタントスターチ:0.18
以外に少ないと感じた方も多いかもしれませんね。
ちなみに、納豆1パックあたり2.7g、さつまいも1/2本あたり2.3g、りんご1/2個あたり1.5g、キウイフルーツ1個あたり2.5g、オクラ3本あたり1.5g、生しいたけ3個あたり1.3gの食物繊維が含まれているようです。
他の食材と比較した時に、食物繊維の量が特別多いとは感じられないかもしれませんが、穀類の中では「バーリーマックス」の食物繊維量は際立って多いですし、数種類の食物繊維、難消化性でんぷんを取り入れることができるメリットもあると感じます。
また、大さじ1杯を、朝・昼・夜と3回摂取することができれば、この3倍の量の食物繊維を摂取できることになりますので、他の食材と比較して決して少ないとは言えないのではないでしょうか。
しかし、食物繊維だけではなく糖質や脂質なども含めた全体の栄養価を考えなければならないので、一概にスーパー大麦だけを摂取していれば良いとは言い切れません。
他の食材と比較して、また、食物繊維ばかりに注目するのではなく他の栄養素とのバランスも考えながら、自分に合った取り入れ方を考えていかなくてはならないと思います。
「バーリーマックス」は栄養価も高いが値段も高い
美味しく食べられて食物繊維が豊富な「バーリーマックス」ですが、普段の生活に取り入れるには値段の高さがネックになる部分だと思います。
最初に試した、はくばくの「スーパーフード バーリーマックス」は1袋が千円程しますが、家で普通に炊く量のお米3合に120g加えて、1袋の3分の2以上は使ってしまいました。
最後に試した、だいずデイズの蒸し大麦「スーパー大麦」は、1袋(50g)274円ですが、これは蒸した状態ですので、水分を含んでいる分、量が多くなっています。
蒸す前の状態で100gに換算すると、はくばくの商品とほぼ値段は変わりません。
経済的な事を考えると、バーリーマックスを毎日取り入れるのは難しいかもしれませんが、白米に混ぜる量などを調整したり、トッピングにする量を調整するなどして、生活へ無理なく取り入れて、不足しがちな食物繊維を少しでも手軽に補い、腸内環境を整えてダイエットに繋がる身体づくりに活かしていきたいですね。
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