ロカボマークと呼ばれていて、一般社団法人 食・楽・健康協会が作成したマークになります。
調べてみると「一般社団法人 食・楽・協会」というのは2013年11月に設立された協会のようです。
どんな団体なのか、その設立目的や活動内容などがホームページでは紹介されていますが、この協会は以下の4つのことを目的にしているそうです。
●血糖値測定の普及とその意義の啓蒙
●科学的根拠に基づく最新の栄養学についての啓蒙
●(理想論ではなく現実論の生活に基づく)生活を楽しみながら健康になる社会の実現
難しい言葉が並んでいますが、
「世間の人たちに血糖値に注意することを呼び掛けることで、みんなが健康で楽しく暮らせるような社会にしたい」
このように理解できるのではないかと思います。
健康のためには辛い食事制限などのイメージもあると思いますが、そうではなく「生活を楽しみながら健康になる」ということが、この協会の理念のようです。
この協会の理事長は、先日の「おいしい低糖質プリン」の記事でも少し紹介しましたが、北里研究所病院 糖尿病センター長の山田悟医師です。
上の記事で取り上げた「おいしい低糖質プリン」にもロカボマークがついています。
「ロカボ」という言葉自体も、この「一般社団法人食・楽・健康協会」が作った言葉です。
今回は、この「ロカボ」という言葉の意味や、どのように「ロカボ」を実践したら良いのか、またロカボマークのついている商品について紹介していきたいと思います。
目次
「ロカボ」とは?
これまでカロリーばかりを気にして、ダイエットのために低カロリーの食事を選択する人が多かったと思いますが、「ロカボ」ではカロリーではなく糖質の量に着目しています。
カロリーではなく糖質の量に気をつけましょうということです。
ほとんどの食品には栄養成分が表示されていて、「炭水化物」や「たんぱく質」「脂質」がどのくらい含まれているかが分かるようになっていますが、「糖質」というのは「炭水化物」の中に含まれています。
出典:「ロカボ」
「炭水化物」は「糖質」と「食物繊維」の量を合わせたものなので、栄養成分表示だけを見た時には、「糖質」が一体どのくらい含まれているのか正確な数字が分からない商品がほとんどです。
しかし「ロカボマーク」がついている商品は炭水化物を「糖質」と「食物繊維」に分けて表示してありますので、糖質量を正確に知る事ができます。


「糖質制限ダイエット」と「ロカボ」はカロリーではなく糖質に着目している点は似ていますが、「ロカボ」では極端に糖質制限するのではなく、あくまでも適正な量の糖質摂取を心がけましょうという点で、極端な「糖質制限ダイエット」とは少し違うのではないかと考えられます。
また、「ローカーボ」という言葉もありますが、それは極端な糖質制限を含むので、それとは区別するために「ロカボ」という新しい言葉を作りだしたようです。
ロカボでは「美味しく楽しく適正糖質」を掲げていますので、厳しい制限ではなく、楽しく続けられるように過剰な糖質摂取を抑えるという考え方のようですね。
ダイエットというと食べたい物を我慢して、辛くて苦しいというイメージがありますが、そんなストレスが溜まるダイエットではなく、「楽しく」そして「美味しく」ということですから、今までダイエットに挫折してきた人達は「そんな事が可能なの?」と思われるかもしれませんね。
では、実際にどのように「ロカボ」を行っていけばよいか、その基準をまとめてみました。
「ロカボ」で気にするのは「糖質量」だけ
先ほども書きましたが、カロリーではなく糖質量に注意するのが「ロカボ」です。
カロリーが高い食品を敬遠してきた人も多いと思いますが、そんな商品の中には、実は糖質が少ないものもあります。
「ロカボ」基準
=1日の糖質量60~130g
気をつけるのは糖質量だけで、1日60~130gが適正摂取量と考えられています。
「たんぱく質」や「脂質」については基準がありませんので、基本的にはどれだけ摂ってもいいことになります。
糖質が多い食品少ない食品とは?
「低糖質」の食品にはどのようなものがあるのでしょうか。
基本的に、炭水化物の量が多ければ糖質も多いと考えておいた方がよいでしょうが、炭水化物が多いのはお米や麺類ばかりではありません。
野菜にも炭水化物が多い食材はありますので、どの食材が「低糖質」なのかを知っておく必要があります。
「ロカボ」のホームページでは「糖質早見表」があり、どのような食材に糖質が多く含まれているのか、逆に少ない食品は何かを簡単に調べる事ができます。

出典:ロカボ辞典
さつまいも、じゃがいもなどの芋類が糖質が多いイメージはあるかと思いますが、くずや春雨など一見するとヘルシーに見える食材も実は糖質が多い事が分かります。
ここには記載がありませんが、かぼちゃや栗も糖質量が多めです。
アルコールについても記載があります。

出典:ロカボ時点
ウィスキーや焼酎は糖質量が少ないですが、日本酒やロゼワインは多いということで、お酒の種類によって違いがある事が分かりますね。
また主な食品100gあたりの糖質含有量の表もあります。

出典:ロカボ辞典
ここの掲載したのは一部ですが、野菜だけでなく、果物、乳製品、主食、調味料など、豊富に記載されていますので、自分で料理をする時の参考にもなりますね。
なぜ低糖質がいいのか?
ここまで、「ロカボ」の意味と、実践方法について説明してきましたが、そもそもなぜ「低糖質」が良いかについて考えてみたいと思います。
血糖値が上がったり下がったりする仕組み
食事をすると血糖値(血液内のブドウ糖の濃度)が上昇します。
ブドウ糖は私たちの脳や筋肉、内臓がしっかりと動くためのガソリンのような役割をしていますので、生命維持には欠かせない栄養成分です。
このブドウ糖を食事から摂取すると、血液内のブドウ糖の量が一時的に多くなり、これが血糖値が上昇するということです。
血糖値が上昇すると、すい臓からインシュリンというホルモンが分泌されて、血液から全身の細胞に必要な量のブドウ糖がを送りこまれます。
こうする事で、血糖値は下がります。
血糖値が急上昇するのを防ぐために低糖質がいい
しかし、身体が必要とする以上にブドウ糖が体内に入ってきた場合、体内の血糖値を一定に保つためにインシュリンは大量に分泌されます。
そして余ったブドウ糖は脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進する働きもあるのです。
このインシュリンが大量に分泌されるということは、それだけ体内に糖分を吸収しようとし、更に脂肪として蓄えることに繋がるという訳です。
そのため、インシュリンの分泌量は必要以上に増やさないことが肥満を防止することになると考える事ができます。
インシュリンの分泌量を必要以上に増やさないようにする為には、急激な血糖値の上昇を防ぐ必要があります。
その為に、糖質の多い食品ではなく、少ない食品を摂取する必要がある訳です。
出典:「ロカボ」
糖質の量が少なければ、血糖値は急には上がらず、緩やかに上昇します。
上の図で言うと、青いライン(低糖質のケーキを食べた時)が緩やかに上昇している事が分かります。
適量のインシュリンが分泌されて、体内に必要な量の糖分が行き渡ると、血糖値は下がっていきます。
常にこの状態を保つことで、過剰なインシュリンの分泌は抑えられ、過剰な糖分の吸収も抑えられ、脂肪が溜めこまれることもなくなるという訳です。
一方で赤いライン(通常のケーキを食べた時)は急激に血糖値が上昇し、インシュリンが大量に分泌されている事を表し、それはそのまま身体に脂肪が蓄えられている事を意味します。
このような理由から「低糖質」が大事であるという事になります。
身近な「ロカボ」商品
ロカボ商品が増えてきたとはいえ、まだまだ知らない方も多いと思いますので、ロカボ商品をいくつか紹介していきます。
ローソンのブランシリーズ
ロカボ商品と言えば、思いつくのが大手コンビニチェーンの「ローソン」の「ブランシリーズ」です。
コンビニ業界の中で唯一ではないでしょうか、低糖質のベーカリーを提供しています。
ドーナツやスティックパイなど、これまでのダイエットでは食べてはいけないと思われていたものまで低糖質を実現しています。


栄養成分表示でも、糖質と食物繊維を分けて表示してありますね。


パンが好きな方はこれまで購入していた普通のパンを、この低糖質パンに変えることで糖質の摂取量はかなり抑えられると思います。
エースコックの「麺ごこち」糖質50%オフ
カップ麺にも低糖質の商品がありました。
それがこちらです。
出典:「エースコック」
同じような商品で日清の「麺職人うまみとんこつ」と栄養成分を比べてみました。
麺職人 うまみとんこつ (日清)1食81g |
麺ごこち 糖質50%オフ 旨炊き豚骨ラーメン (エースコック)1食88g |
|
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 304 | 255 |
たんぱく質(g) | 8.8 | 9.2 |
脂質(g) | 6.0 | 9.6 |
炭水化物(g) | 53.7 | 41.3 |
ー糖質(g) | 24.5 | |
ー食物繊維(g) | 16.8 | |
ナトリウム(mg) | 2.0 | 2.6 |
日清の「麺職人」の方はノンフライということでカロリーは普通のカップ麺に比べると抑えられていると思いますが、それでもエースコックの「麺ごこち」の方が低カロリーですね。
また、「ロカボ」の基準となる糖質量についても、「麺職人」の方は炭水化物として表示してありますので、正確に糖質量のみを比較する事はできませんが、炭水化物量全体として考えた場合に、「麺ごこち」の方が低く抑えられている事が分かります。
一方で、脂質量は「麺職人」の方が少ないですね。
糖質と脂質とどちらに気をつけるかについては、個々で判断が分かれると思いますが「ロカボ」基準でいえば「麺ごこち」がおすすめになります。
糖質50%オフのバニラアイス「SUNAO」
アイスにも「ロカボマーク」のついている商品があります。
グリコの「スナオシリーズ」です。
この商品についてはおなじグリコの商品で「牧場しぼり」と比べてみます。
牧場しぼり (120ml) |
スナオ バニラ | |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 195 | 80 |
たんぱく質(g) | 3.6 | 2.7 |
脂質(g) | 10.8 | 4.1 |
炭水化物(g) | 20.8 | |
ー糖質(g) | 7.6 | |
ー食物繊維(g) | 13.4 | |
ナトリウム(mg) | 54 | 35 |
ショ糖(g) | 0 |
カロリー、脂質とも「牧場しぼり」に比べて「スナオ」は半分以下に抑えられています。
しかし、糖質(7.6g)と食物繊維(13.4g)を合わせた炭水化物の量はほぼ同じになっています。
このような時に「牧場しぼり」の方の糖質と食物繊維の量が分からないために、正確に比較することができません。
しかし、グリコのホームページでは「スナオ」について食物繊維が豊富と紹介されていますし、「日本食品標準成分表2015ラクトアイス(普通脂肪)と比較して糖質50%オフ」を実現しているようですから、通常のバニラアイスよりは低糖質を実現し、食物繊維も豊富であることが分かります。
ダイエットにアイスは大敵と思われてきましたが、このように我慢せずに食べることができるアイスもあるのは、スイーツ好きの方にとっては有難いですね。
「スナオ」には他のフレーバーもあり、色んな味を楽しみたいと思う方にとっては、その点も嬉しいのではないかと思います。
「ロカボマーク」のついていない低糖質商品もある
今までは「ロカボマーク」のついている商品を取り上げてきましたが、「ロカボマーク」がついていなくても低糖質の商品もあります。
先日「シャトレーゼ」というお菓子屋さんに行ったところ、糖質オフの商品がいくつか並んでいました。
ホームページでも紹介されています。
出典:「シャトレーゼ」
他にもケーキやアイス、ピザ、パンなどもあり、そのほとんどが冷凍商品でした。
冷凍保存できるため、こまめに購入しに行く手間も省けますし、また一部は通販でも販売されているようですので、このようなサービスを使われるのも良いかもしれませんね。
「低糖質」の商品を上手く取り入れて、楽しくダイエット
ダイエット中に甘い物を食べてはいけないというストレスはかなり大きく感じますよね。
そんな声を受けて低糖質商品が作られるようになったのではないかと思いますが、以前は限られた商品しかなく、選択肢があまり無かったのが、今は種類が増えてきています。
今まで「糖質制限ダイエット」に失敗してきた方は、このような低糖質の市販品を上手く利用する事で、無理のないダイエットが続けられるのではないでしょうか。
もちろん、いくら低糖質とは言っても、食べすぎれば糖質もカロリーも多くなってしまいますので、適量を心がける必要はあります。
また、低糖質商品を食べていれば痩せる訳でなく、あくまでも普通の商品に比べて摂取する糖質量が減るだけですので、体重を減らしたり体型を変えたい場合には運動を合わせて取り入れた方がよいですね。
栄養成分表示の「炭水化物」は「糖質」と「食物繊維」に分けて表示して欲しい
最後に、今回「ロカボ」商品と他の商品を比較する中で、栄養成分表示の「炭水化物」は「糖質」と「食物繊維」に分けて表示してあると助かるのにという事を感じました。
というのも、私自身お店で商品を選ぶ際には栄養成分表示をかなり気にして、それが商品選択のポイントになる事が多いからです。
もし、炭水化物しか表示していない場合、「糖質」の量がどのくらいかが分からずに購入をためらう場合も少なくありません。
逆に「糖質」と「食物繊維」が表示してある場合には、比較検討しやすく購入のきっかけにもなります。
もちろん、表示する事で、その商品に糖質が多い事を消費者に知らせてしまい、糖質を気にしているお客さんの購入機会が減るというデメリットがある商品もあると思いますが、表示した方がメリットになる商品もあると思いますので、栄養成分について消費者に分かりやすく表示してもらえると有難いなと感じました。
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